防大用語 まとめ

防大(防衛大学校)の用語集

更新日:

防大(防衛大学校)で使われる少し特殊な用語の意味や関連する出来事について
主に「あおざくら 防衛大学校物語」の感想記事のほうで解説をした用語を中心にまとめたいと思います。
内容的には、感想記事で書いたよりも加筆し、より詳しい説明をしています。

※基本的には真面目な解説をしています。(でも独断と偏見もあり)
※関連する出来事の部分などは時には妄想も混ざるかもしれません。
※他の人とは少し解釈が違うようなケースもあるかもしれません。

※気紛れ随時更新です。

======================

 

防衛大学校(ぼうえいだいがっこう)(National Defense Academy of Japan)

略称は「防大」または「防衛大」。
将来、陸上・海上・航空の各自衛隊の幹部自衛官となる者を教育訓練するための防衛省の施設等機関であり所謂、士官学校のようなもの。
(※文部科学省の管轄ではない学校である点に注目)

防大がある場所は「神奈川県横須賀市走水1-10-20」の通称「小原台(おばらだい)」
平地より高い位置にあるので下界より若干気温が低くて寒い。
敷地面積はやたらと広い。
近くに自衛隊基地や米軍基地などもあるので、その地域一体は独特の空気が漂う。
「日本で一番、無事に卒業するのが厳しい大学ではないか」と噂されている。
他の一般大学とは、明らかに一線を画するのは間違いがない。

 

着校日(ちゃっこうび)

入校式(一般大学でいう所の入学式)ではなく、防大で生活が始まる初日の事。
制服のサイズ合わせ、官品の受け取り、身体測定、様々な説明を聞いたり、上級生に挨拶したり、防大内のルールを教えてもらったり…
気が付いたら、あっという間に時間が過ぎて夜になっていた~という日。
防大ライフのスタートの日。

 

学生舎(がくせいしゃ)

防大生の学生寮の事。1~4大隊まで4つの建物、4つの大隊がある。
各大隊間では年間を通して運動や学業などの様々な競争が行われており優劣を競う。
(※ハリポタの寮対決みたいな感じ)

防衛大学校の学生は入校と同時に全員が学生舎での団体生活を送る。
第1学年〜第4学年までの約8名で2室(寝室と自習室)を使用するのが基本とされている。
(※人数が多い年は一部屋に10人という事もある)
学生舎には集会室、調理室、洗濯室などが完備。
※お風呂、シャワー室などは別館にある。

尚、部屋は4年間一緒な訳ではなく、部屋割りは学期ごとに変わるので4年間の防衛大生活で同部屋になる人数は結構多い。

部屋のメンバー次第で防大生活が比較的楽になったり、元々地獄だったのが更に深い地獄になるような事もある。
尚、各国から来ている留学生も一緒の学生寮で生活をするので同部屋に留学生が居るような場合も当然あり、それは珍しい事ではない。

 

近藤学生(こんどうがくせい)

防大では学生の事を、こんな風に○○学生と呼ぶ。

 

対番(たいばん)

先輩が後輩の面倒をマンツーマンで見る(教育係)になる制度の事。
新1学年(教えてもらう側)は「対番」と呼び、上級生(通常は2年生だが3年である事もある)(教える側)は「対番学生」と呼ぶ。

通常は同郷の人が対番になってくれる。(※絶対ではない)
(福岡出身者には福岡、北海道出身には北海道出身の先輩という感じ)

学年の上下で「上対番(うえたいばん)・下対番(したたいばん)」という呼び方もする。
(※自分の対番の更に上の対番は「上上対番(うえうえたいばん)」と呼ぶ)
後輩にとって「上対番」は自分を守ってくれる頼りになる存在であり兄貴分

何があっても上対番だけは「絶対に自分の味方になってくれる」というのが防大生の認識。
厳しい防大生活の中で数少ないやや甘えられる存在。
同部屋の先輩達も面倒を見てくれ、ある程度は守ってはくれるが、それよりももっと親身になってトコトン面倒を見てくれるのが対番。
まるで「義兄弟」のような、この関係は防大の中だけではなく任官後もずっと続くようなものとなる…場合もある。

上下の2人だけの関係だけでなく歴代対番の縦の繫がりも結構重視される。
1年~4年までの対番の縦繫がりの「対番会」(一緒に食事をしたりする)も時々開催される。
一年生の間は、食事代などは先輩達がおごってくれるケースが多い。
※学年が上がる度に、おごってあげるべき下級生が増えるので上級生は結構大変。

 

部屋っ子(へやっこ)

同部屋の下級生のことを「部屋っ子」と呼ぶ。
同部屋の学生たちは基本的に「守ってあげる」ことになっているので同部屋の先輩達は優しい。
(※そうでない先輩も時々いるらしいが、それは例外的な存在)
一学年にとって「廊下に出れば戦場」でも「自室の中は安全地帯」でありホッとできる場所。
対番学生に次いで、頼りになるのは同部屋の先輩という事になる。
(※その次位に校友会の上級生が来る。勿論、例外もある)

部屋の上級生が発言権のある頼りになる先輩だったりすると
何かと便利で助かる事が多い…らしい。(※噂)

同部屋のメンバーと食事に行く会=部屋会などが定期的に行われる。
また時々、防大の中でも部屋会(お菓子とジュースでの会)をしたりもする。
その場合、大抵は先輩達がおごってくれる…らしい。

※尚、上記は男子部屋の場合であり女子部屋は少し雰囲気が違うケースが多いらしい。
部屋の中でも気を抜けない女学生は多いとの噂。

 

カンピン

親が自衛官である人のこと。
国民の税金で生活している自衛官の子息をカンピンと呼ぶ。
(※官品(かんぴん)から来ている言葉)

 

プレス

アイロンする事を防大ではプレスすると呼ぶ。
順番を待って交替で使うのを嫌がる人は自分専用のを購入することもある

 

空気イス(くうきイス)

実際にはないイス=空気のイスに座る格好をする事。
何かの罰や反省のためにやらされることがある。
かなり!!キツイ恰好であり、倒れる事も多いし終わったあとはヘロヘロ。

 

お客様(おきゃくさま)

着校(防大で生活を始めた)はしたが、まだ入校式は終えていない一学年のこと。
まだ宣誓を済ませてはいない=本当に入校していないので「お客様」と呼ばれる。
(※防大の行事の時の父兄や受験生も、普通にお客様)

 

入校式(にゅうこうしき)

一般大学の入学式にあたる日。
服務宣誓を済ませ、この日より正式に防衛大生の一学年になる。
入校式には友好国の武官なども参列している事もありSPも多いし独特のキリッ!とした空気が流れている…。
防衛大の名物として有名な儀仗隊(ぎじょうたい)の華麗な演技も見られる。

入校式の直後には学生とは別に父兄に対しての説明というかお願い?の時間がありそこで父兄は結構衝撃的な話しを聞かされ…
我が子が入校した防衛大という所がどんな所であるのかを思い知る。
(ここで書き切れないので、その内に別記事にするかも…?)

尚、入校式を済ませた後に退校する場合は手続きが少々面倒になる。
色々な意味で、この日が境目の日となり防衛大生の心にずっと残る日の1つとなる。

 

服務の宣誓(ふくむのせんせい)

公務員が任命される際に、必ず署名(サイン)や押印して提出しなければならない宣誓書のこと。
職種になって内容が違うので、防衛大学校では防大用のもの…
警察は警察官用、地方公務員用…という感じで色々な種類がある。

新入生は、この宣誓文に押印するかどうかで葛藤する子も多い
(それだけ厳しい内容だと感じる学生が多いという事なので内容はお察し案件)
防衛大生としての最初の関門であり、これをくぐらないと先はない。
入校式の前日に一学年が集められて印鑑押す(押印)するかどうかの決断を迫られるらしい。

尚、防大生としての服務の宣誓を拒否した場合には、当然ながら入校することは出来ないので、辞めて家に帰る事になる。
(※毎年多くの学生が入校式までの5日間に(なかには着校日の当日でも)辞める)

 

午餐会(ごさんかい)

午餐会(ごさんかい)とは、入校日に新1学年とその家族、来賓、防大の職員などが学生食堂で、ズラリと並んで一緒に食事をするお昼の会食会のこと。
防大の巨大な学生食堂で大勢がズラリと並んで食事をする光景はなかなか壮観。

会食と言っても食事は豪華な物ではなく、ごく普通のお弁当が出るだけ。
同じテーブルの向かいに親子が座り一緒にお弁当を食べつつ近況を聞いたりできるので、家族にとっては入校後の様子を知る事ができる貴重な機会。

この入校式が終わり父兄が帰った後の防大では、1学年は「正式な防大生」として本格的な防大ライフがスタートする。

 

日夕点呼(にっせきてんこ)

防衛大で毎日欠かさずにある夜の点呼のこと。
全学生が、学生舎の廊下に整列をし点呼を受ける。(※朝は外)
万が一、この時に居ない人がいたら…大騒ぎ!になります。
(※点検の後に、全員で居ない人を探す)
(その結果、様々なドラマがあるのですが書き切れないので省略)

 

「飛ぶ」「飛ばされる」

整理整頓ができていない事などを理由に、ベッドやロッカーの中身や、時にはご丁寧にベッド下にある個人の収納ボックスの中身まで飛ばされてグチャグチャにされてしまう事。

室内だけで荒らされいる事もあれば、廊下や外に物が放り出されている事もある。
この際、変な物を持っていると見つかり更に大変な事になるので注意が必要。
防衛大でプライバシーなどという物は存在しないという事を噛み締める瞬間でもある。


整頓不良(せいとんふりょう)

少しでも!僅かでも!毛布やシーツなどの畳み方が悪いとこう言われて、ベッドが飛ぶ原因となる事がある。
ベッド以外のロッカーの中の整理整頓や、自習室の自分の机の上など、あらゆる所が対象になるので全てを整理整頓していないといけない。


一斉喫食(いっせいきっしょく)

防衛大学で全学年が一緒に昼食を食べる事。なかなか壮観な光景となる。
一斉喫食の準備は一学年の仕事であり、結構大変。
準備が遅いのはもちろん、上級生の好きなドレッシングが揃えられていないだけでも叱られる。

一学年にとっては単純に食事の時間という訳ではなく、周囲や目の前の上級生に気を配り、時に面白い話題を提供して上級生を楽しませたりしなければならないので、食事中でも気は抜けない。


上メシ(じょうメシ)・ベチャメシ

上メシは上級生が食べる「美味しく炊けている部分のご飯」=炊飯器の上の方のご飯のこと。
ベチャメシは、炊いたご飯のムラの為にベチャベチャになった部分=炊飯器の下の方のご飯。
ベチャメシは1学年が食べるのが防大の習わし。


反省文(はんせいぶん)

上級生に何か不備を指摘された後に書かなければならない反省文。
内容は多岐にわたり、整頓不良、清掃、挨拶、靴の磨き方、その他…なんでも
通常は10枚~20枚ほどが多いらしい。
※例外的に枚数が多くなる事もあり。

 

外出日(がいしゅつび)

防衛大学生の身分は防衛省の特別職の国家公務員なので、一般の国家公務員と同じように土日祭日は休日扱いになる。
校友会(部活)の練習や試合などで休日は潰れる事も多いが、何も予定がない日は自由に過ごす事が出来る。

自分の部屋(学生舎)で過ごしても別に良いし、希望者は事前に申請をして許可を得れば外出する事も出来る日


外出点検(がいしゅつてんけん)

防衛大生が学校の外に外出する時に必ず受けなければならない点検。
服装などの不備がないかを点検されて外出するに相応しいかどうか点検される。
外出点検に合格しないと外出は出来ない決まり。
(※尚、外出は事前に外出許可を貰っている事が条件)
(※万が一、許可なく外出をして見つかれば事故になる)


臨時外出点検(りんじがいしゅつてんけん)

なかなか外出点検で合格を貰えない1学年への救済措置
通常の外出点検より回数を多くしてあげる事により、出来るだけ早い時間に外出できるようにしてくれる配慮である。
(※尚、臨時があるかどうかはその時まで不明)


ピカール不備(ピカールふび)

外出点検などの時に襟章や帽章がキレイに磨かれていない状態の事。
金属部分の輝きがピカピカに光っていない時に言われる不備。
※ピカール=金属研磨剤の商品の名前


引率外出(いんそつがいしゅつ)

1学年生が初めて外出許可を貰って娑婆(防大の外)に出る時は
部屋の上級生が引率をして部屋っ子に色々な事を教えてくれる事になっている。
たいていは同部屋の上級生が1学年生たちに食事をおごってくれる日でもある。


木札(きふだ)

学生の名前が書かれたプレートの事をそう呼ぶ。
各学生の行動(例えば外出中)などが分かるようにする札。
昔は本当に木でできていたらしいが、現在はプラスチック製。
昔の名のごりで今でも木札と呼ばれている。

 

PX(ピーエックス)

防大の校内にある売店のことをこう呼ぶ。
現在はファミリーマートがあります。
普通のコンビニとあまり変わらないような内容の物や、
防大限定のお土産品なども販売しています。
(※限定品はチョコ、クッキー、カレーなどの食べ物系やグッズ類や服など様々)
防大の開校祭などで行った時に一般人も買い物をすることができます。

 

脱柵(だっさく)

正規の手続き(退校するための手続き)をせずに防大から逃げること。
要するに、防大生活のあまりの辛さに発作的に(又は計画的に)防大から脱走すること。
脱柵は重大な事故であり、露見と同時に大変なことになる。
尚、最終的には自衛隊組織の中にある「警務隊」に発見されることになる場合が多い。
※警務隊は自衛隊内の警察のようなものです。
※海外の軍の「憲兵」のようなものだと思えば良いです。

 

 

 

-防大用語 まとめ
-

Copyright© 防衛大学校(防大):日本一厳しい大学での士官候補生たちの日常 , 2023 All Rights Reserved.