受験生の皆様へ

防大に進学するかどうか・防大受験をするかどうかで迷っている人へ

更新日:

時期的に主な大学受験が終わり、防大受験で見事に合格した人は、実際に防大に進学するかどうかで迷っている人が多いだろうと思います。

そこで私の個人的な私見(※独断的な部分も有です)ですが、少し「私なりの」アドバイス的な事を、色々な角度から少し書かせていただきたいと思います。
(※違う意見の方もおられるとは思いますが、一応参考程度にはなるかと)

 

防大生になるという事は特別職の国家公務員になるということです

最初から防大は「お試し受験」という位置づけだった方以外の人は、防大の合格通知が届いて改めて「本当にこの道に進んで良いのだろうか?」と進路に悩やむ人も多いと思います。

防大受験に合格はしたが「一般大学に行こうか?いや、やはり防大に行こうか?」と悩む人の人数は毎年、とても多いのだろうと推測してます。

 

一般大学と比べれば、かなり特殊なカリキュラム他にない環境の大学ですし、厳しいらしいという噂は聞いている筈ですので迷う事があるのも普通だろうと思います。

この時期では私立大学の受験の合否を確認したので、さぁ正式に進路を決めよう!と思いつつもイザとなると迷ってしまう時期でしょう。

まず最初に申し上げておきたいことは・・・
防衛大学校に進学するという事は、単純に特殊な学校の大学生(防大生)になるというものではなく、同時に特別職の国家公務員になるという事でもあります。

その点が他の一般大学に進学するのとは大きく違う点のひとつです。


正式に入校すると「身分は国家公務員」
になるので、例えば校友会(部活)の出費が多いので毎月の支給額では足りないと感じたとしてもバイトをすることはできません
(※そんな余裕はそもそもありませんが、したくてもできません)

他にも「国家公務員」としての行動の制約があります。
(※守秘義務とかいろいろと)

※人生で一度もバイトをしたことがない人は、今の内に「体験」しておくと良いかもしれませんね。

単なる学生ではなく、国家公務員という身分になるのだという部分を、まずは抑えましょう

 

 

防大に進学する=「幹部自衛官(士官)を目指す」ということはどういう事なのか良く考えましょう

防衛大学校に進学し、その後に幹部自衛官になるという事は、自衛隊の組織の中で「士官になる」ことを目指すということでもあります。

防大を卒業した後は、陸上・海上・航空に分かれた幹部候補生学校に進学し、その幹校(かんこう=幹部候補生学校の略)を無事に卒業すれば…すぐに幹部自衛官(士官)になる道へ導かれます

※「すぐに」の部分の補足
※正確には幹部候補生学校を卒業した数か月後です。
※「陸海空の違い、配属先の違い」で期間が変化するので人それぞれです。
※1,2ヵ月後の場合や半年以上先になるケースなどバラバラですが、大きく考えて大した違いではない程度と言えると思います。

 

具体的に階級のことを簡単に書くとーー。

陸上・海上・航空のそれぞれの幹部候補生学校の生徒である期間は「曹長という階級に任命され過ごします。
(※それぞれ陸曹長・海曹長・空曹長となります)

その後に、無事に幹校を卒業すると3尉という階級の幹部自衛官に任命されて部下を持ちます。
(※それぞれ3等陸尉・3等海尉・3等空尉となります)
(※配属先は幹校時代に希望を複数提出し、成績や適性などを見られて決定されます)
(※第一希望が通るか、他の、例えば第三希望になるか?などは幹校の卒業間際まで分かりません)

 

つまり幹部候補生学校を卒業したら、例え現場での実践がなくても「部下を持つ幹部自衛官」のひとりに即なるのです。

防大に入校してから幹部自衛官として責任のある立場に立つまでは、過ぎればあっという間だった!と感じると思います。

※補足
※「幹部自衛官に即なる」の部分は、上の補足で書いたように、実際は「幹部候補生学校を卒業した数か月後」です。
※人によって、その期間が大きく違いますので大雑把にこのように書いています。

 

実際に部隊に配属されて自分の部下になる人達は…
「自分よりも現場での実践経験もあり、自分よりも、その現場の事に詳しい知識もあり、そして年齢的にも自分よりも年上の方々が多いです。

要するに、まだ何も知らない自分よりも、何年間もずっと部隊に居て経験豊富な部下の方々のほうが、遥かに仕事ができる!…ということです。

 

新米幹部の期間は、自分の「幹部自衛官」という階級・肩書以外は、恐らくほどんどの面で「部下たちのほうが優れている」という状況の中で、自分は上司として接する必要があるという事なのです。

これは、実際にその立場にたってみると結構、辛い事ではないかと思います。

ここで悩む人やつまづく人が、結構な数いるという風にも聞いています。

配属先によっては全員の中で「自分が一番年下」である事もあると思います。
(※例え自分より年下の部下の方がいても、部隊経験は自分より上である点に注意)

幹校を卒業したばかりの、若輩者の新米幹部が、自分よりも経験も知識もある年上の方々に対して「上司として接して決断を下し指示を出す」という事をしなければならないのです。

※「幹部自衛官としての態度」というものを周囲に求められますし、それに応えた態度を取らなければなりません。

 

同じ部署には、部下と同じ立場の人たちは大勢いますが(当たり前ですが)、でも自分と同じ「幹部自衛官」の人数はとても少ない事もあります。

配属先によっては、自分以外の幹部・士官が殆どいない事だってあるかもしれません。
幹部はいたとしても階級が大きく違う「偉い上司」しかいないかもしれません。
又は、幸いなことに同期が数人居たとしても、滅多に会話をする余裕もない環境であるかもしれません。

つまり、何か仕事上での悩みが出てきたとしても…
気軽に相談できる相手や、自分の立場を真に理解して助言してくれる者が身近にいないかもしれないのです。
(配属先や人間関係によって大きく違いますので、あくまで「もしかしたら」の話です)

 

あんなに厳しかった防大・幹校を頑張って無事に卒業したのに・・
実際に各部隊に配属された時点で、その責任感プレッシャーに耐えられずに辞めてしまう人もいるそうです。
(※そんなケースもあるという事ですので参考程度に)
(※精神的に辛くなり、心療内科通いをする人も人数もそこそこいるという噂でしたので、老婆心ながら書いています)

防衛大学校に進学して、幹部自衛官を目指すという事は、大事な自分の将来を決定するかもしれない事ですので、悩んでいる場合はゆっくり考えて、何度も考えて、自分の納得する結論を出すべきだと思います。

 

特に、将来に感じることになるであろう…
責任感重圧」「上に立つ者としての孤独感」に耐えられそうかな?という点は、一度考えてみても損はないと思います。

※他の官公庁や民間企業に行っても「上になればなる程」孤独に耐え、目標に対する重圧と戦い、他人の不始末の責任までもを取るのは同じです。
※自衛隊だけの事情ではありません。念の為。
※A幹部自衛官の場合、それらを感じる境遇になるのが一般的な公務員や会社員よりも早く来るということです。

 

※決して脅している訳ではありませんので!誤解のないようにお願いします。

※新米幹部が部隊で部下に虐められると言っている訳ではありません。
※何もできない新米幹部を親切に丁寧に導いてくれる部下の方々は多くいます。寧ろ、そちらの方が圧倒的多数です
それでも気に病んでしまう人もいる…という話です。

※仕事ができない初期の内は特に、陰で部下に悪口を多少言われるかもしれないなぁ?という程度のことは「当然のこと」として多少は覚悟をしておいてください。
(会社の上司の悪口を酒の肴にするのは、一般の会社でも良くあることですしね)
部下の方々は新米幹部の扱いに慣れている事が多いので、そこまで極端に悪し様に言われることはないと思いますが・・・一応)

 

おまけの余談|幹部はいつも書類仕事に追われている

ついでの「おまけ」余談情報としてですが…
幹部自衛官の仕事内容は、とても書類仕事が多い!です。

お役所的な各種書類や、報告書がた~くさん!あり、それを処理するのが幹部なのだと想像してみると良いと思います。

幹部になると「いつもいつも書類に追われている」という風に感じる方がとても多いと聞いています。

※職種により当然、書類の量は違うのですが、書類仕事のない幹部自衛官はいません。
※大量にある書類仕事の処理が大変だと感じて(+他の理由もあり)辞めてしまう方も中にはいますので…老婆心ながら書きました。

※因みに「お役人の仕事」は、どこに行っても書類仕事に追われます。自衛隊幹部だけではなく官公庁などでも同じです。
※もしも書類仕事は大嫌い!なのでしたら幹部自衛官に限らずお役人関係の仕事は止めたほうが無難だと思います。

 

 

大丈夫!防大進学後だって進路変更は十分に可能です!

でも、あまりに固く考え過ぎることもないとは思います。

防大に行ってはみたけれど、その校風校友会の練習勉強面団体生活でついていけないと感じたり、来てみたら、自分が本当にしたい事はこれではなかった!と気がつく人もいます。

 

そのような場合は、退校して改めて一般の大学を受験するなり、希望の職種に就くための職業訓練校に進学することだって当然できますし、そのような方々は毎年とても大勢います

防大では退校者がとても多いという噂を聞いている人は多いと思います。

 

このサイトで感想記事を書いているサンデーの連載漫画「あおざくら」にも初日で退校する人の場面がありましたが、あれは別に珍しい事ではありません

そんな人が本当にとても多くいます。

特に1学年の間はとても多く、着校日の当日~入校日までの5日間の間は勿論、年間を通して次々に退校者が出ます。
その次に多いのが2学年になりたてのカッター期間と言われる期間です。

つまり約1年間の間に、防大を退校して他の道を目指す方々が大勢いるということです。
(※詳しくは、その内に別記事を書く予定にしています)

1学年として入校した人の中で4年の卒業まで「モツ」人の割合は、その年によって大きく違うようですが…
「入校の時の同部屋だった同期が全員退校してしまって残ったのは自分だけ」
という人だって、そんなに珍しくはない・・・という位には人数が減るようです。

(※もちろん同部屋の同期が全員一緒に卒業できる人もいるが少数派だそうです)
(※退校だけではなく、留年する人も一定数いますので卒業時がズレる人も多いのです…。)

 

厳しい環境や全くプライバシーなどない団体生活に耐えきれないと感じて退校する人もいれば・・・
自分の将来・未来にやりたい事を他に見つけて退校する人もいます。

別にそれは、ごく普通に可能なことなので、
一度、防大に入学すれば将来の進路が全て決まる訳ではない。進路変更は可能!
という位の気持ちでも別に良いと、私は個人的に思っています。

 

防大で認められている留年の回数について

ちょっと寄り道的な情報になりますが、上で留年の話題が出たので説明を入れます。

防大と一般大学とで大きく違う点として、留年できる回数防大は2回しかない、というのがあります。

防衛大学校では、留年は同じ理由では1度きりしかできません。

違う理由で留年したとして、合計2年間の留年までが限度です。

それ以上の場合は、自動的に退校処分になります。

例えば、一年目に成績不振で留年し、翌年に病気や怪我を理由に留年したら、もうそれ以上の留年はできないということです。

つまり成績不振という同じ理由での2回の留年はできないのでご注意を!

 

 

幹部自衛官になる道はひとつ(防大卒業)だけではない

すごく珍しい例では…
防大に一度入学したけれど、自分には合わない気がして退校し、改めて一般大学を受験し直して、翌年に一般大に再入学し。
就職活動をする頃になると、やはり自衛隊に行き幹部自衛官になりたい!という気持ちが溢れて来て、一般大学から幹部候補生学校を受験した人もいるそうです。

幹校に進学し、防大卒の人たちとの差を感じつつも、必死に食らいついて、無事に幹校を卒業して幹部自衛官になったようなケースもアリ!ということです。

 

そのように、幹部自衛官になる為には、絶対に防衛大学校を卒業していないとダメな訳ではなくて、一般大学から幹部候補生学校を受験して進学する方法もあります

どうしても進路に迷う場合は、そのような選択もあると知っていると良いと思います。

 

一般大学から幹部候補生学校に進学した場合の大きな試練の壁

・・・ただし!!
一般大学から幹部候補生学校に進学し、無事に卒業するのはそんなに簡単ではありません

そもそも幹校の入試の時点で、そこそこの難度があります。
噂では、名前の知れている難関大学クラスの卒業者でないと合格が厳しいようです。
(※その年により違います。ここ数年はやや入り易い?という噂もあります)

そして、もし無事に幹校に合格できたとしても・・・
ハッキリ言って一般大卒と防大卒業生との差がどうしてもあるとも聞いています。

 

それは良く考えれば当たり前のことなのですが…
時には理不尽とも思える厳しい全寮制の環境で4年間を生き抜いてきた猛者(防大卒業生)たちと、普通の一般の大学生活を送って来た人の間には、当然ながら大きな差がある筈です。

 

特に大きな差として出るのは生活面での要領の良さや、訓練時の体力の面、そして精神面(メンタル)だそうです。

 

防大での4年間で、自衛隊式の生活様式や普段の日常生活での要領を、身体にしっかり覚え込ませている防大卒業生の幹部候補生たち。

4年の間に様々な訓練を体験し、更に校友会の運動などで身体をしっかり作り&鍛えて体力もある防大卒の幹部候補生たち。

そんな防大卒と、一般大卒の幹部候補生では、生活面での実力差や体力の差やメンタル面での差がかなり大きくて、分刻みの生活や厳しい訓練についていけない人も多いそうです。

 

そして体力の差は勉強面でも影響が大きく出るケースがあると聞いています。

例えば某有名国立大を卒業して幹校に来ている人などでも、訓練や日々の慣れない集団生活でクタクタになり、授業に出席するだけで身体が辛いので勉強どころではない!という事になり、何とかついて行っているような人もいると聞きました。

地頭が良くて勉強ができたとしても、生活面・体力面・精神面でついて行けない場合は、どうしても相当に辛いだろうと思います。

 

何の試練も経験することなく幹部自衛官になるのは不可能

つまり・・・
防大に進学しても、4年間の間に様々な試練があり無事に卒業するのは厳しい学校ですが、それを避けて一般大学から幹部候補生学校に進学した場合は、防大の4年間の試練を耐え抜いて来たメンバーと机を並べることになるのです。

同じ幹部候補生学校の生徒になるという事は、当然ながら訓練内容も勉強面でも生活面でも、全ての分野で同じレベルの事を当たり前にできないといけないので、それはそれで普通に厳しい世界である!という事です。

 

※例えばプレス(アイロンかけのこと)や靴磨きや、名札をキレイに素早く縫うなどの裁縫が上手にできるかどうか?という点だけでも普段の生活で大きく違うと思います。

つまり、どちらに進学しようとも、一定レベルの厳しい試練の時を過ごさなくてはならないのは同じなのです。

 

※陸上・海上・航空のどの幹部候補生学校に進むのかによっても厳しさに違いがありますし訓練の内容にも違いがあります
※一般的に言われているのは「陸・海はかなり厳しい=脱落者も多い」ということなので参考にどうぞ。
※空でも団体生活である点は同じなので、その部分の向き不向きも考えると良いと思います。

 

そのような事情から、一般大学卒で幹校に入学した人たちの「退校率」はとても高いそうです。
※特に陸と海は多い。

防大卒で幹校まで行ったのに、そこで退校する人はさすがに少ないようですし、何か特殊な事情がある場合が殆どのようです。

ですが、一般大卒の人の場合は、ごく普通にポロポロと辞めていくそうなので・・・
その差は大きいと言えると思います。

※ちゃんと防大卒の人(Bと呼びます)が、一般大卒(Uと呼びます)を何かとフォローしてくれるそうですが、それでも最後は本人次第ですので。
※その年によっても退校率は大きく違います。退校者がとても少ない年もあります。

 

つまり一般大学を卒業した後に、幹部候補生学校に進学するつもりの場合は、決して甘くはない」と自覚をした上で、それなりの覚悟を持って臨んだほうが良いです。

 

一般大学を卒業して幹部候補生学校に進学する利点|陸海空を選べる

上の内容だけでは、一般大学を卒業してから幹校に入校するメリットが何もないように読めてしまうので、補足として少し書かせて頂きます。

一般大学を卒業してから幹部候補生学校に入校するルートの利点・メリットも当然あります。
それは「自分自身で、陸海空のどこの所属になるか選べる」という点です。

(※幹部候補生学校は陸海空に分かれているので、受験をする時点で既に別れています

 

防大に進学した場合は、1年生の時に研修で陸海空のそれぞれの見学などをしたり座学で学んだりした後に、陸海空のどれが良いか「自分の希望」を出します。

本人の希望は当然、考慮されますが、最終的には成績や適性などを見られて所属先の判断をされますので、自分の希望の通りの所に行けるかどうかは発表されるまで分かりません。
・・・つまり、完全に自分では選べないのです。

※圧倒的に第一希望が通る人が多いようですが100%ではなく、第二希望になる人も当然います。
※第三希望になった、というケースは私は聞いたことがありません。
※それぞれの人数の枠が決まっていますので、そこは仕方ないと思います。

 

その為、どうしてもココが良い!という強い希望を持っていた防大生が、その希望通りに行かなかったことを理由に退校するようなケースも、たま~に、あるそうです。
(※そんなに多くはない。でも稀にあるということです)

そのような防大生の中には、陸海空に分かれてしまう2学年に進学する前に防大を退校した後に・・
「一般大学を受験し直して入学」

「一般大学を卒業」

「第一希望だった(陸海空のどれかの)幹部候補生学校を受験して入校」

「防大の同期と2年~3年遅れ位で幹部候補生学校を卒業」

・・・というルートを選択して、自分の希望を通すような人も中にいるそうです。

そこまでの事をするくらいに、ど~しても!ど~しても!ココ!!
・・という強い強い希望がある場合は、上記のようなケースもあり得るということを考慮した上で、防大に進学するかどうかを考えると良いと思います。

 

 

 

将来、幹部自衛官になりたい意思が強いなら防大へ進学するほうをお勧め

色々な考え方があるとは思いますが・・・

もしも「将来はどうしても幹部自衛官・士官になりたい!」という明確な目標があるのであれば、私の個人的な感想としては、やはり防衛大学校に進学したほうが良いのでは?と感じます

 

何故ならば、防大に進学すると「同期や防大の先輩後輩」が大勢できます
それも同じ苦労を共にした仲間、4年間、同じ釜の飯を食べた仲の人たちです。

数々の青春ドラマを、泣き笑いしつつ共に共有してきた同期・上級生・下級生たちとの強い絆ができるのです。

同じ大隊になった同期達や上級生や下級生はもちろん、同じ校友会(部活)仲間の上級生や下級生とも、とても強い絆をつくることができます。

そのような、特殊な環境で苦楽を共にした仲間ができるという事は、幹部自衛官になった後での重要な人脈になると思うのです。

 

一般大学に進み、幹部候補生学校に進学した場合でも、「幹校での同期」は当然多くいますし、本人次第で心強い同期の友人も多くできると思います。

ですが幹校の期間はそもそも短い(陸海空で過程が違うが約1年弱~1年半)ですし、この時は「陸上・海上・航空」に分かれてしまっているので、自分の進んだ幹校内だけでの友人です。

この時にできるのは「陸上・海上・航空のの組織内での友人関係」だけです。

陸海空の隔てなく、強い友情や絆を作れるのは防大の期間だけなのです。

 

おまけの余談|防大出の「派閥」について

ここからは「おまけ」の余談になりますが、ついでなので。

自衛隊組織の中では…
●防大出の派閥がある
●幹部の中では防大派閥が幅を利かせている
…というような噂を聞いたことがある方も多いと思います。

私的には、そのような派閥ができ、且つ人数が多いことで幅を利かせているのは当たり前のことだとも感じます。

例え一般大学を卒業して幹部候補生学校に入校する時点では「B(防大卒)とU(一般大卒)は同人数」であっても、卒業時での人数には差があります。
…ということは、一般大卒の人よりも防大卒の幹校の卒業者の人数が多いということです。
(※同人数が入校しても、一般大学卒業者のほうが幹校を辞める人数が多いので、幹校の卒業時の人数に差が出るということ)

※正しくは他に、一般曹候補生から部内選抜等を経て幹部自衛官になる方の人数もかなり多いのですが、この記事の主旨を考えてB(防大出)とU(一般大出)だけを比べて書いています

 

少し前まで、そもそも幹校に入校する時点での人数に差があった時代もありました。

その頃は幹校の入校の時点で、防大卒業者の人数が一般大卒業者より多かったので、今現在の自衛隊組織全体の中では当然ながら「幹部自衛官は上にいくほど防大出が多い」です。

それは事実ですし、この傾向(防大派閥が多い)はしばらくの間は続くのでは?という感じです。
(※その時代の方々が定年近くなる少し前まで位は?)

 

おまけの余談|防大出の「出世スピード」について

更についでの別の余談ですが…

●防大出のほうが出世しやすい
●防大出は出世のスピードがはやい傾向にある

…という噂についても、ある程度の出世までは当然のことに思えます。

に行けば行くほど「出身大学は関係ない」「本人の能力次第」になるので、途中までということです。
※ここで書いているのは「幹部になりたて→ある程度の出世をするまで」だけの事情です。
※つまり最初の内だけの事情なので、そこをお間違えなく!

 

そもそも防衛大学校とは「自衛隊組織の中で、将来の幹部となるべき者を教育している専門機関」です。

いくら同じ陸・海・空の幹校(幹部候補生学校)を卒業したとしても、防大卒者には、それ以前に受けた防大での教育期間があるのです。

「幹部となるべき教育を受けた時間」が、一般大学の卒業者より4年間も長いのですから、その分の差をある程度は考慮されるのは当然のことのように思います。

 

ですが、実際に部隊に任官して数年後以降は「本人の努力次第でもありますので、例えば東大卒で「上まで上り詰めた方」がいるように、一般大学卒だからチャンスがない、という訳では全くありません
※ちゃんと平等に公平に道が開けています。
※要は本人の努力次第です。

ご本人の努力で出世している一般大卒の方々だって、そこそこの人数がいますし、今後はもっと増えるのではないかと言われています
※下の蛇足部分を参照してください。

ただ今現在の状況では「上を占めている」のは防大出が多いというということです。

※尚、海上の場合は幹校での成績が一生付き纏う…と言われています。
※出世で最も重要なのはCGSでの成績と仕事の評価が最重要と言われています。
※その内に時間があれば別記事で詳しく書くかもしれません。

 

蛇足的ですが、ついでに書いてしまいます…

初級幹部になった後の次の関門である指揮幕僚課程(CGS)での防大出の優遇措置はありませんし、一般大の卒業者と同じ土俵で公平に平等に競い合う事になります。

このCGSは高級幹部への道ですので入校するだけでも狭き門ですし、勉強もかなり大変です。

ですので指揮幕僚課程(CGS)では、東大の卒業者のほうが成績も上だったりする事もあったりする訳で…
そんなことが続けば、気が付いたらトップは東大出(一般大学出)ばかりになった!…という時代が来るかも…しれませんね。

 

 

陸海空に「分かれてしまう前の人脈」のあるなしの差をどう考えるか

将来、陸上・海上・航空の色々な部署に知り合いや友人がいることが、どれほど役に立つのか、全く立たないのか…それは立場や職種なども各人で違うので、人それぞれだろうと思います。

ですが…
陸海空が絡む行事がある時や、又は何か有事が起きた時は当然として…普段からでも陸海空の組織的に横の繋がりがあるほうが何かと良いような気がしています
(※完璧に個人的な意見です。参考程度に)

 

防衛大学校が陸海空全ての幹部候補生たちを一同にし、同じ環境で教育するのは、そのような横の繋がりを持たせるためだとも聞いています。

一度、陸上・海上・航空に分かれてしまうと、その環境や立場が大きく違うため、どうしても互いに「真に理解」し合うのが難しい面があるそうです。

 

まぁそれは、一般の会社や学校でも良くあることだと思います。

例えば外回りの営業職と、内勤の経理の人では同じ会社に勤めていたとしても、立場が大きく違うために、自分の立場とは違う視点で見ている人の気持ちが十分には測れないのと同じです。

学生の皆さんの立場であれば、同じ大学でも学部やゼミが違うと色々な事が大きく違うので、他の学部の事はあまり分からないし、その行動が理解できない事があるのと同じようなものでしょう。

高校生ならば、同じ学校に通う生徒同士であっても、自分が所属していない部活動の大変さや、選択していない科目の授業の難しさはイマイチ分からない感じに近いでしょうか。

 

防大生の生活の実態については、漫画「あおざくら」の感想記事を参考にどうぞ

この記事では「防衛大学校での生活の厳しさ」は長くなるため書いていません。

その部分は、主にサンデーで連載中の「あおざくら」という防大生をテーマにした漫画の感想記事を読んで頂ければ良く分かると思います。

 

あおざくら防衛大学校物語では、主人公の近藤が受験をし、着校するところからスタートしているので、入校後にどんな感じの生活が待っているのか、とても分かり易いと思います。

ただし「あおざくら」は、あくまでも漫画です。

漫画雑誌は商業的に売れないと困る物なので、「防大生の生活」を忠実に書いている訳ではなく、改変もあるし、微妙な書き方の場面もあるし、事実と違うと多くの防大生が感じる場面もたくさんあります

 

例えば、主人公や登場人物の「髪が長すぎ!」ます。
あんなに髪が長い防大生はいませんし、もしいたら即刻、防大内での理容室で短くするように言われます。

そのような点も作者さんは分かった上で「漫画の書き分けのため」と割り切って書いておられるようです。

他にも「面白い展開にするため」に、事実とは違う内容(違和感がある内容)が多々ありますので「そのつもりで」読んで参考程度にしてくださいね。

 

私の感想は「あおざくら」を読んで違和感を感じたり、これは事実とはだいぶ違うと感じた部分について勝手な意見を書かせていただいているものです。

あの感想記事は「あおざくら」の漫画よりは詳しく、より防大生の本当の生活に近い内容の感想を書いているつもりですが、厳密に言うと入学した期によっても、各大隊(4つの学生寮のこと)によってもカラーが違います。


そして何より、身近で接することになる上級生や同期のメンバー次第で大きく違います。

 

そんな感じですので、あの感想記事も「あくまで参考」と思って読んでいただけると良いと思います。

一応、私的には「あおざくら」を読んだだけでは分からない事や、事実と明らかに違う部分について、知っている範囲で一生懸命に書いているつもりなので、参考にしていただくレベルにはなっていると思います。

 

※仕事が忙しくなり感想記事の更新が滞っていますが、書き方を変更して更新を徐々にでもしていくつもりです。手をつけられるようになるまで、もう少し?お待ちください。

 

その他のルートについて

尚、幹部自衛官には拘らない場合、つまり一般職の普通の自衛官でも良い場合は幹部候補生学校に進学しなくても、募集の門戸が常時開いていますので、そちら経由で自衛官になる事は可能です。

ここでは、あくまでも「幹部自衛官=士官を目指すなら」という視点で書いています。

 

それから上の防大の派閥のことを書いた箇所でも少しだけ触れていますが…
一般曹候補生だった方が、部内選抜や各種の試験などを通過して幹部自衛官になる道もあります
このコースで幹部自衛官になっている方々の人数は結構多いです。

※防大出・一般大出→A幹部と称する
※部内選抜からの幹部→B幹部と称する
(※他にC幹部もありますが、説明が複雑になるため省略します)
と、同じ幹部でも呼び方も待遇その他が少し違います。

幹部自衛官と呼ばれている人達の中で、本当の最大派閥はB幹部(部内幹部)という意見もあります。
でも自衛隊全体での人数が多くても一体感はあまりない…ようだということです。
なので「派閥」という言い方が合わない微妙な雰囲気があるようです。

恐らく、幹部候補生学校時代=I課程時代の同期は多いが年齢もバラバラ、それまでの経歴もバラバラだし幹校の期間も短いので、そこまで同期意識が芽生えないのではないか?という事です。
(※人にも寄るのでコレは一部の人の意見です)
(※全然ない訳ではない。防大出のような確固とした感じではないということ)

 

陸上自衛隊を例にすると…
入隊した後に、3曹まで出世した4年後→試験を受けて曹長→試験に合格して部内幹部候補生(I(アイ)幹部候補生と呼ばれます)。
その後、無事に幹部候補生学校を卒業して、晴れて幹部になる。
…という経路の人が多いようです。
(※細かいことを言うと他にもありますが…)
(※陸海空で違いがあるので一番人数の多い陸を例に簡単に書いています。海や空の事を細かく知りたい場合はお調べください)

ただし部内幹部(B幹部)の場合は実質的な出世の限度が「1尉」だという噂です。
(※何事にも例外はあるので佐官クラスになった方も少数ですがいらっしゃるとか)

つまり上で説明したA幹部とは別の道になりますが、部内幹部(B幹部)という道もありますよ…ということです。
一応「そのようなコースもある」という事で、細かいことは省いて簡単に書かせて頂きました。

 

進路に迷っている人の助けに少しでもなれば良いなと思って書きました。

以上、今思いついた範囲の事を大急ぎで書きましたので、後日なにか気が付いた事があれば書き足すかもしれません。

 

 

なお「防大の入学前(着校前)に準備しておくと良い物」についても別記事にして書きました。
防大に進学する人は、入校準備(入学準備)をすると思いますので、宜しければ参考にしてください。

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